トンゼミ
1999年からの信頼のEコマース運営実績 本気でネットショップを運営するウェブマスターを応援!

ネットショップ経営戦略支援コンサルタント トンゼミCEO 一般社団法人ジャパンEコマースコンサルタント協会 理事

第162回 他社にない経営上の資産がコア・コンピタンス

コアコンピタンスとは、Gary Hamel, C.K. Prahaladの著書「コア・コンピタンス経営」(日本経済新聞出版社、1995年)によって広められた概念で他社に真似できない核となる能力のことを指します。

コア・コンピタンス経営
この著書中468ページに渡る随所で、IBM,HP,ソニー,コマツ,GM, P&G などを事例として上げていますが、これを自社に置き換えようとすると、商品やサービスそのものにコンセプトを持たせ他社との違いを見出そうとする事例をよく目にしますが、本質は自社がもつ経営資源のことであり、5年・10年先を見越した経営をする事の大切さを伝えています。

教科書企業戦略は、製品やサービスのコンセプトが既に確立し、他社との競合関係もはっきりし、産業の境界も不変だと仮定していますが、実際にはリーマンショックや昨今のコロナ禍など、環境が大きく変化することが常であり、業界の変革を自社に有利に展開するにはどうするべきか?そして「業界1位」はどのように手に入れられるかを考える必要があります。

ある意味、走り続けながら「ブルー・オーシャン戦略」を実践していくことに等しい感があります。

わかりやすい事例としカメラフィルム業界を挙げると世界で初めてロールフィルムおよびカラーフィルムを発売したメーカーであるイーストマン・コダック社。
2000年頃までは世界的な大手企業の座を保ち、さらに1975年には、世界初のデジタルカメラを開発するなど、アナログ分野だけでなくデジタル分野でも、高い技術力を誇っていました。しかし、写真フィルム事業での大きすぎる成功のため、写真フィルムの業績に悪影響を与えるとの理由から発明品であるデジタルカメラの商業化を見送るなどデジタル化の波に乗り遅れ、2000年代以降のフィルム市場の急激な衰退にともない、2012年に会社は倒産してしまいました。

日本での写真フィルムはトップシェアを持っていたのは富士フイルム社。1960年代から年末年始時期に「お正月を写そう」というテレビコマーシャルを展開していたのは有名でしたが、カメラのデジタル化がすすむとともにフィルムの需要は落ち込み、2009年1月には写真フィルム部門の売上高は会社全体の売上高の5%にも満たなくなりました。富士フイルム社はコダックが経営破綻する何年も前から写真フィルム業界の行く末を案じ、新たな収益源の確保に取り組んでいた背景があります。

その改革の中心に据えられたのが、同社のコアコンピタンスである「精密な技術力とコラーゲン生成技術」だと思います。

カメラのフィルムを製造するにあたって求められる「マイクロレベルでの精密な技術」そして、フィルムに用いる「高純度かつ高品質なコラーゲンを独自に生み出す技術」この2つが富士フィルム社のコアコンピタンスだったわけです。

そのコアコンピタンスを背景に様々な事業を検討し、最終的に医療分野や高機能材料などに参入することに決め、その中でも著しい成果を生み出したのが、スキンケア化粧品事業ということになります。

富士フィルムがコアコンピタンスである「精密技術とコラーゲン生成技術」を最大限に生かして世に送り出した新商品は「アスタリフト」だったわけす。

アスタリフト

富士フイルムホールディングスの株価は今から10年前は1,700円台、その後右肩上がりの推移で現在は8,000円台を維持しています。
会社が健康なうちに、先を見越した経営をすることの大切さがよくわかる事例だと思います。

コアコンピタンスは企業が生き残る上でとても大事なものですが、注意点があります。
事業戦略を策定する際に、把握している自社のコアコンピタンスを適用していくことになりますが、うまく適合させることのできる事業ドメインでこそ効果を発揮します。
例えばソニーのコアコンピタンスである小型化技術は、AV機器、情報機器などのいわゆる「黒物家電」の領域では力を発揮しますが、冷蔵庫やエアコンなどの白物家電領域では小型化することの価値はあまりありません。そのため、コアコンピタンスをどの事業ドメインに適用するかを熟考することがとても大切です。

サービスや商品の価値、技術開発などにおいて、企業のポジションはいつも激しい競争のなかにさらされ、常に変わり続けています。そのようななかで、顧客を獲得し続けていくためには、他社が到底追いつけないような力が必要であり、他社と差別化をはかるために、コアコンピタンスが重要となるわけです。

そのためには、まず自社の強みはどこにあるのかを人材、能力、企業文化、理念、サービスなどからリストアップをし、その強みが次の3つの条件を満たすかの確認をしてみてください
「顧客に利益をもたらす」「競合他社に模倣されない」「幅広く応用できる」

現在、東京オリンピック開催中ですので、現東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長である橋本 聖子さんについてのコアコンピタンスを考えてみますと1984年、サラエボ冬季オリンピックでスピードスケート女子全種目の4種目出場、1988年、カルガリー冬季オリンピックではスピードスケート女子全種目の5種目に出場し、全ての種目で日本記録を更新の上、入賞を果たした背景の中で、コアコンピタンスを鍛え抜かれた卓越な脚力と抽出し、同じ筋肉を使う自転車競技に進出し1988年、ソウル夏季オリンピックに自転車の代表選手として出場しまし、日本人として男女を通して史上初めて冬・夏両方のオリンピックに出場するという結果を出しました。
その後も、スピードスケート、自転車競技の両方のオリンピックに出場し合計7回(冬季大会4回・夏季大会3回)のオリンピック出場という日本女子最多記録を達成しました。

橋本聖子会長

さらに女性蔑視発言を受けて辞任した森喜朗元首相の後任として2021年2月に内閣府特命担当大臣を辞任し、同日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長
に就任したのも「女性」「オリンピック出場経験者としてのアスリートの視点」「豊富な政治経験」「IOCなどの関係機関と円滑な関係を構築できる能力」というコアコンピタンスがあったからこそと考えます。

このコロナ禍の中、今一度真剣に会社のコアコンピタンスを考え5年・10年先を見越した経営に舵を切ってみませんか?

▲ PAGE TOP