第110回 グロースハックとは?
Facebook人気でもトランプ圧勝を誇ったトランプVSクリントンのアメリカ大統領選。
Facebookを使ったグロースハックは大統領選でも活用されていました。
もとより2008年、現オバマ大統領が、アメリカ大統領選挙戦にあたっての寄付金を集めるサイトをオープンしました。
その際、画像とキーワードを変えるA/Bテストを行ったところ、ページに訪れ、サインアップした人のリアクションに差がありました。
オバマ選挙戦では200~300億にも及ぶ寄付金が集まりましたが、この改善を通じて得られた差は60億円にも登ったそうです。つまり、1時間で行えるようなグロースハック変更や作業で、60億円の価値を生み出したということになります。
さらにオバマ大統領はサイト内でメールアドレスを登録してもらうために、4種類のコール・トゥ・アクションボタンと、6種類のアイキャッチ画像でABテストしたことは有名な話。
コール・トゥ・アクションボタンは、
Sign Up (登録する)
Learn More (もっと情報を見る)
Join Us Now (今すぐ参加する)
Sign Up Now (今すぐ登録する)
の4種類で、Learn Moreがだんとつの結果を出したといわれ
アイキャッチは、
オバマ大統領の画像
オバマ大統領と家族の画像
チェンジ!の画像
オバマ大統領の動画
Samの動画
Spring Fieldの動画
の中から、オバマ大統領と家族の画像が最も良い結果を出した結果
最終的なランディングページは、「Learn More」と「家族写真」の組み合わせとなりオリジナルのランディングページに対して40.6%もコンバージョン率が高かったそうです。
そもそもABテストとは、Webサイトページにおけるトップイメージ、ヘッドラインのキャッチコピー、Call-to-Actionボタンのデザイン、レイアウトなどの要素を取り上げてより効果的なデザインや文言を複数パターン用意します。
検証する要素以外は同じ条件にして一定期間テストを行い、その複数パターンの中でどのパターンがコンバージョン率が高いかを検証することで、結果としてコンバージョン率が高いパターンを実際にページのデザインや文言として採用します。
このように、A/Bテストなどを繰り返し行い、ウェブサイトの効果や収益を高めていく仕掛けを「グロースハック」といい、それを手がける人のことを「グロースハッカー」と呼ぶようになってきました。
※グロースハック(Growth Hack)
このような効果改善を繰り返し、ウエブを成長させるには、なにやら大がかりなシステムが必要なように思われがちですが、実はGoogleアナリティクスの「ウェブテスト」で実施可能で、Googleアナリティクスのレポート内の行動>ウェブテスト にあります。
ただ注意しておくことは、ウエブテストにおいてテスト箇所以外が同じなのにURLが違う場合は重複ページと判断される可能性があるのでcanonicalタグで一方に指定しておいたほうがいいでしょう。
1.Googleアナリティクスのレポート内の行動>ウェブテスト
2.テストの目標を設定していく
3.テストコードを取得する
ウエブテストを運用してビジネス成果の改善に役立つテストの用例としてgoogleは次のような事例を挙げています。
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たとえば、ハウス クリーニング サービスを提供するウェブサイトを運営しているとします。「スタンダード」、「アドバンス」、「プレミアム」の 3 つのコースを提供しており、プレミアム コースの利益率が最も高いので、このコースを選択するユーザー数を増やしたいと考えています。
ほとんどのユーザーが最初にホームページにアクセスするので、ホームページが第一のテスト対象となります。まずは、テスト用に、ホームページの別パターンをいくつか作成します。赤い文字で大きく「プレミアム」と表示するパターン、「プレミアム」コースのメリットを詳しく説明するパターン、「プレミアム」コース申し込み用リンクの横にアイコンを表示するパターンといった具合です。
こうしてテストを設定し開始すると、ランダムに抽出されたユーザーに対してオリジナルのホームページを含む各種パターンが表示されるので、あとはプレミアム コースを選択するユーザーの割合がどのページで最も高くなるのか結果が出るのを待つだけです。
コンバージョン数の最も多いパターンが判明したら、そのパターンをすべてのユーザーに表示するよう設定できます。
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プロダクトアウト:技術や製造設備といった提供側からの発想で商品開発・生産・販売といった活動を行うこと
:市場や購買者という買い手の立場に立って、買い手が必要とするものを提供していこうと
という用語がありますが
グロースハックは、まず最初に製品やサービスが、マーケットインで出来ているかが大切です
グロースハックは成長を加速するための施策ですので、製品・サービスが提供する価値が市場のニーズにマッチしていることが、絶対的な前提条件になります。
さらに
Mark Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏が発案したPMF(プロダクト・マーケット・フィット)という用語がありますが
「サービスの供給と需要が一致したこと」を、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)と言います
マーク・アンドリーセンの定義を引用すると、
Product market fit means being in a good market with a product that can satisfy that market.
つまり良い市場を狙っていて、且つその市場に見合った良い製品を持っている状態。
「サービスの供給と需要が一致した」状態です
さらにアンドリーセン氏は、
スタートアップで重要なのは、ただ一つ。プロダクト・マーケット・フィットに達すること。それだけだ。とも発言しています。
スタートアップではPMFに達することで、初めてサービスを成長させる準備ができるというわけです。
では、このPMFはどのようにして検証すればよいのか?
製品、消費者に特定の質問をし、その答えによってPMFに達しているかどうかを測る、という方法があります。
「グロースハッカー」提唱者のショーン・エリス氏は、PMF見極めのポイントとして、「その製品が無くなったら?」という問いに「非常に残念」と答えるユーザーが40%を超えていることをあげています。
グロースハックはPMFに達している製品、サービスに対して施策していくことが絶対条件ですので、グロースハックの施策前に是非製品、サービスのPMFを確認してください。