第109回 CRMから考察するメルマガの効用
マーケティングの話になると、よくCRMという言葉が多様されている昨今。
実際にCRMを追及するのは非常に難しく高度な技術のように思われたりもしています。
そもそも言葉が難しそうだという最初のハードルがありますが、
CRMはCustomer Relationship Managementの略でマーケティングの中では顧客関係管理と訳された顧客満足度と顧客ロイヤルティの向上を通して、売上の拡大と収益性の向上を目指す経営戦略なわけです。
大手企業においてはさらなる成長を期待してCRMを積極的に活用しています。しかし一方でネットショップではCRMの役割が今ひとつ飲み込めず、CRMを導入するまでに至っていない会社が少なくありません。
一般に企業経営にとって役立つさまざまな要素や能力のことを「経営資源」と呼びます。
ヒト、モノ、カネ、情報の4つが四大経営資源と呼ばれていますが、いかに優秀な人材が高品質の製品・サービスを提供しても、製品・サービスを購入する顧客が存在しなければビジネスは成り立ちません。
そこで顧客を中心に据え、事業戦略やプロセスも含めたビジネススタイルを考えていこうというのが、CRMなのです。
かねてより、注文履歴データベースをRFM分析して優良顧客や離脱客などを抽出して割引のDM送付やハガキを郵送したり、 期間内無利用顧客を抽出し、購入を促す為にクーポン付きメールや電話をする行為は、顧客満足向上どころかむしろ敬遠されるようになってきました。
CRMは「囲い込み」や「顧客単価向上」を目指す活動と思われがちですが、それだけでは成功しなく、心底「顧客視点に立って満足度を高め、長期的優良な関係性を育てあげる」事が本質で、それを理解し活用する為には、顧客心理への造詣・知識・ノウハウ・経験が必須であるわけです。
一方、市場にはモノがあふれて顧客ニーズが多様化しているのも、ビジネスを難しくする要因になっているのが現代で、このような経済社会では新規顧客の獲得は非常に難しくなっていることを実感する場面が多々あるわけです。
とりわけ、単品商材を取り扱う会社にとっては競合他社との差別化はもとより、新規顧客の開拓があってこそ、定期購買への安定顧客へのゴールデンルートがあるわけです。
つまり、非常に優良なCRMプログラムを持っていたとしても、新規顧客の開拓がなければ、なにも起こり得ないということです。
新規顧客獲得をするためにはその前の段階の顧客にリーチする必要があります。その前の段階の顧客というのは見込顧客であり、さらにその前の段階の顧客は潜在顧客です。
つまりCRMをはじめる新規顧客のステップは
潜在顧客→見込顧客→新規顧客→固定顧客ということになるわけです。
そして、新規顧客の手前の顧客の各定義は次のようになります。
潜在顧客 = ニーズに気付かせることができれば見込顧客になる人たち
見込顧客 = 条件さえ会えば顧客になり得る人たち
整理をしますと、
潜在顧客を集めること、潜在顧客を見込顧客に引き上げること、見込顧客を新規顧客に引き上げること、新規顧客を固定客に育てること。
ネットショップ戦略において誤解されやすいのが、1つ目の「潜在顧客を集めること」と2つ目の「潜在顧客を見込顧客に引き上げること」が混ざり、「見込顧客を集めること」になっていたのですが、「見込顧客を集めること」に広告を投下しても、競争激化している業界商品ではなかなかと費用対効果は合いません。
あくまで必要なのは、「潜在顧客を集めること」であり、ここではじめて、リタゲ広告の運用などが考えられますが、昨今では、メールマガジンとあわせてフェイスブックやインスタなどのSNSなどの並行運用を行うことにより、広告費用のかからないリタゲ効果が見いだせると考えています。
では、潜在顧客をどのように集めるのか?
この記事を書いている2016年11月現在でも従来からある手法が王道であると考えます。
それはプレゼント企画や応募企画です。
20代の女性潜在顧客を集めたい、40代の主婦の潜在顧客を集めたい、そんな目標がある場合には、それぞれが欲するプレゼントを用意して企画をします。
この企画をプレゼント商品を変え、定期的に続けていき、獲得したアドレスに対してメールマガジンの配信を行います。
ここで誤解されやすいのがメールマガジンで商品やブランドを告知してしまうこと。
最初のウエルカムメールでどんなショップでどんな商品があるかの告知をすることは、決して間違いではありません。
その後のメールマガジンにおける関係性が大切になっていきます。
ウエルカムメールで商品やブランドを告知した段階で、配信解除をされた顧客は、ご縁のなかった顧客で、潜在顧客でなかった顧客ということです。
ここでフィルタリングされ残った顧客が真の「潜在顧客」だと言えます。
次の段階から、週1回ぐらいのペースで送るメールマガジンは、ファンを創成していきます。
美容室でもお寿司屋さんでも、どんなに技術がよくても、不愛想であったり、態度がよくなければ、二度と行こうとは思わないもの
AIがつかさどるであろうと言われるネットショップ業界でも、最後は「人」なんです。
継続していくメールマガジンで顧客との関係性を築きあげることが、見込み客に進んでいただけ、そして、その後の一押しで新規顧客へ育ってくださります。
商品・ブランド認知のメルマガ配信をして、配信解除をしてもらい潜在顧客をフィルタリングして潜在顧客との人間関係性を築きあげるメルマガの配信継続を行い新規顧客を獲得すること
そこからがCRMのはじまりということになるわけです。